2017年1月31日火曜日

1月30日(月)ある犬生の始まり

 愛犬つぶが、夜ぢゅう巣作りしている。カサコソガサゴソカサコソガザゴゾ。親から教わったわけでもないのに、子どもを産む上でやるべきことがちゃんと解かっている。本能というやつは、すごい。ただそのせいで、ぼくは少ーし睡眠不足。眠りが浅いせいか、イヤな夢までみた。
 通常業務。
 つぶのおなかが、今日は明らかに垂れている。昨日までは、あんなに張っていたのに。もしかして、もしかするかも。
 お昼ごはんは近所のいちふじで、うどん。
 納品1件。
 取引先からの帰り、叔母からもらったレトロな机をone koanに運ぶ。
 戻ろうとone koanを出た直後、何と、タイヤがパンク。ロードネット(JAFみたいなシステム)が来るのを待っている間に、有希からメッセージが入る。「つぶ、あやしくなってきた。」えー、このタイミングで?!パンクしたタイヤを即行スペアタイヤに替えてもらって、直帰。
 つぶの呼吸が激しくなっている。もう1時間くらい、こんな状態らしい。しばらくふたりで看てたけど、それ以上の進展はなし。有希がごはんでも仕掛けようとキッチンへ行った直後、破水。いよいよ、始まる。動物病院に報告の電話を入れて、夜間の問い合わせ先を教わる。
 数分を待たずに、第1子誕生。つぶは、赤ん坊を舐めて呼吸を促す。まもなく、元気な声で鳴き始める。第2子は、それから10分後くらい。こちらも順調。
 しばらく開いて、2度目の破水。第3子も、無事誕生。
 ところがその後の第4子。出て来たと思ったら、羊膜に包まれている!黒くて、緑色の袋が見える。つぶは必死で破ろうと試みているものの、破れない。有希が手で何とか破って、中の赤ん坊を取り出す。つぶが舐めて呼吸を促すも、微動だにしない。有希はその赤ん坊をむんずと掴むと、鼻と口の中に入っている羊水を自分の口で吸い出す。しかし、蘇生しない。頭を振ってみても、呼吸が始まる素振りすらなし。
 終業時間ぎりぎりの病院に電話をして、先生のアドバイスを仰ぐ。どうやら、未熟児らしい。有希がやれることは、全てやった。それでも、一向に動かない。「それなら、無理かもしれません。」と電話口で先生。保育器に入れても、蘇生する可能性はほとんどないらしい。いったんは電話を切ったけど、あきらめきれない有希に促されもう一度かける。今度は先生の携帯電話へ。先生は冷静で、やはり的確。「体重は幾らですか?」量ってみると、他の子たちのちょうど半分。やはり、出てくるのが早すぎたみたい。「心臓は動いてますか?」「…………」言葉を失くす有希。悲しいけど、もうあきらめるしかなかった。
 幸いにも、3頭の赤ん坊はすこぶる元気。つぶのおっぱいを探して、這いずりまわっている。つぶの呼吸はまだ荒い。それでも、子犬を舐めながらケアを続けてる。
 30分以上経って、ようやく落ち着いた。羊水でびしょびしょの新聞を取り替えたり、識別のため子犬のおなかに数字を書いたり、体重を量ったりする。「1」の赤ん坊は232g。「2」の赤ん坊は215g。「三」の赤ん坊は205g。(有希がなぜか「3」だけ漢数字を書いた。)
 有希が、つぶをトイレに連れ出す。残された小さな赤ん坊たちは、ひたすらきーきーと鳴いている。赤ん坊が心配過ぎるつぶは、外でトイレを済ませると全速力で戻ったらしい。つぶまで、くぅんくぅんと鳴いている。ちゃんと母親になったんだなあ……。
 こうして、つぶの出産は完了。長い1日……いや、1週間だった。(当初の予定日から、ちょうど1週間遅れの出産でした。)

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